AI活用によって描く次世代ドライブスルーのビジョン
AI無人オーダーシステム Drive-Thru Neue(ドライブスルー・ノイエ) が、第2回チャレンジコンテストアイデア部門で最優秀賞を受賞しました。
今回の受賞は、「技術力」だけでなく、現場の課題を発見し、それを革新的なアイデアで解決する「構想力」が評価されたことに、大きな意義があると感じています。

Drive-Thru Neueについて
着想:現場の「生の声」を技術で形にする
このプロジェクトは、制御情報工学科1年(当時)のチームメンバーの伊豆川のマクドナルドのドライブスルーでアルバイトを行なっていた貴重な実体験からスタートしました。
伊豆川の現場の視点からは、従来のシステムが抱える「お客様の小さなストレス」と、「従業員の大きな負担(特にカスハラリスク)」という、根深い課題が明確になりました。
私は、この現場の「生の声」と具体的な課題を起点に、最新のAI技術でどのように解決できるかという技術的なアイデアと実現可能性の構想を担当しました。伊豆川の実体験に裏打ちされた真に求められる機能を、ブレイン・ストーミングを通じて革新的なシステム設計に落とし込むことが、私の役割でした。
コンテストでは、この「現場の課題」と「技術的な解決策」が明確に連携している点が、特に高く評価されました。
「Drive-Thru Neue」の核となる卓越したアイデア
GPT-4による「アバター店員」の誕生: 単なる音声認識ではなく、OpenAIのGPT-4を独自にチューニングすることで、人間と話しているかのように自然で、しかも完璧に正確な対話を実現するAIの「アバター店員」を考案しました。伊豆川の実体験から、「複雑な注文修正や雑談にも対応できる柔軟な応答性」を、いかに技術的に実現するかを徹底的に構想しました。
コスト削減と従業員の保護を両立: このAI店員が、年間数百万単位の人件費削減に繋がるだけでなく、従業員を最前線でのストレスやハラスメントリスクから完全に隔離します。この「人」と「利益」の両面を解決するアイデアが、特に高い評価を得ました。
無限の拡張性を持つフレームワーク: この対話AIのアイデアは、ドライブスルーに留まりません。タッチパネル式注文端末、コールセンター、無人店舗の受付など、さまざまなサービス産業へ横展開が可能な、極めて汎用性の高いフレームワークとして構想されています。

AirOrderへの発展
Drive-Thru NeueはAirOrderへと名前を変え、DCON2025にエントリーしました。東京都立産業技術高専、奈良工業高等専門学校、熊本高等専門学校熊本キャンパスのメンバーによるチームを結成し、チャレンジコンテストで発表したアイデアをもとに、NVIDIAのJetson Nano**やRealtime APIなどを用いてプロトタイピングを実施しました。残念ながら本選出場とはなりませんでしたが、遠隔でオンラインシステムを活用して開発をすることができたことは大きな経験となりました。
チャレンジコンテストについて
チャレンジコンテストは「身近な気づきから地域・社会の課題に対する解決策をデータに基づいて提案できる人材の育成」を目的とし、沼津高専が学内の学生を対象に2023年から開催しています。2024年12月に実施した第2回の本選では、プロトタイプ部門とアイデア部門それぞれのショートプレゼンとポスターセッションが行われ、沼津高専学外からお越しいただいた審査員5名による本選審査を行いました。
参考
