デザコン2024 in 阿南の本選に出場
インタラクションデザインにより新しい音楽体験を提供するロブジェクト「BeatLinkS」を開発し、2024年11月2日と3日に徳島県阿南市の阿南高専で行われた、全国高等専門学校デザインコンペティションAMデザイン部門に出場しました。
BeatLinkSについて
BeatLinkSは沼津高専制御情報工学科と電子制御工学科の学生4名と電子制御工学科の指導教員によるチームで開発したスピーカー型ロボットです。
開発の経緯
BeatLinkSは全国高等専門学校デザインコンペティション(デザコン)のエントリーをきっかけに、3Dプリンタやロボット制御技術の習得とインタラクションデザインの学習のために開発しました。3Dプリンタやインタラクションデザインに興味のある学生を募り、学生4名と指導教員1名によるチームを結成しました。

コンセプトと特徴
BeatLinkSはデザコン2024のテーマである繋をテーマに設計されています。 ユーザーが好きな音楽を再生するだけで音楽のリズムに合わせて動き出し、視覚的な動作を楽しむことができます。 これにより、まるでBeatLinkSも音楽を共に楽しんでいるかのような一体感を得られます。 スピーカーの位置を自由に調整できるため、ユーザーはBeatLinkSを左右に動かしたり、向きを変えたりすることができます。 これにより、さまざまなリスニング環境に柔軟に対応することができます。 さらに、BeatLinkSはパーティやイベントでも活躍します。 曲の盛り上がりに合わせて動くことで、場の雰囲気を一層盛り上げ、参加者同士のつながりを強化するソーシャルメディエータとしての役割を担うことができます。 BeatLinkSは視覚を用いた全く新しい音楽体験を提供します。

ロブジェクト
ロブジェクトはロボットとオブジェクトを組み合わせた概念で、身の回りのモノをベースに社会性を加えたロボットのことを指します。 BeatLinkSは生活の中に溶け込むロボットを実現するために、外見を人に近づけるのではなくスピーカーとしての外見を保ち、モノとしてインタラクション可能な存在を目指します。
システム構成と技術
BeatLinkSはPCに接続されたスピーカーとArduinoに接続された3つのサーボモータによって構成されます。音楽の再生や全体の制御はPythonを使用したソフトウェア、サーボモータの制御はArduinoによって行われています。本体はFLASHFORGEの3Dプリンター、Creator Pro2などによって作成されたABS樹脂のパーツが組み合わせれていて、全てAutodesk Fusionで設計されています。

デザコンについて
デザコンは1977年に明石高専と米子高専の建築学科によって始まりました。2004年から主催は高等専門学校連合会となり、デザインの領域を「人が生きる生活環境を構成するための総合的技術」と捉え直し、建築学科の枠を超えた全国の高専全体で取り組む「全国高等専門学校デザインコンペティション」に生まれ変わりました。また、各高専で養い培われた学力、デザイン力の成果を基として作品を作成し競いあうことにより、普段の高専内での学習だけでは得ることが出来ない、高いレベルでの刺激を互いに与えあえる貴重な機会となっています。さらに、2013年から同日開催されていた3Dプリンタを活用した「3次元デジタル設計造形コンテスト」が、デザコンの「AMデザイン部門」として発展的に統合されました。
2024年は徳島県阿南市の阿南高専で開催され、「人と人が豊かにつながるものづくり」をテーマとしたAMデザイン部門では32チームがエントリー、8チームが本選に進出しました。 残念ながらBeatLinkSは受賞となりませんでしたが、ロブジェクトの概念を採用した点や視て繋がる音楽体験に関する着眼点は高く評価していただきました。

参考
- 社会的需要生を志向するロブジェクト概念の提案, ヒューマンインターフェースの学会論文誌, 2023, 25巻, 3号, pp.203-218
- 全国高等専門学校デザインコンペティションHP
- 沼津高専HP「全国デザインコンペティション2024 AMデザイン出場結果報告」
- 沼津高専HP「沼津高専だより127号」 (デザコンを振り返ったコメントを掲載しています。)
- 沼津高専HP「沼津高専だより126号」 (チームメンバーの意気込みを掲載しています。)
